能の言霊

 

能は和歌や物語、漢詩、お経…古典のいろんな要素が散りばめられています。
その中からハッとするような、ストンと腑に落ちるような
ほろりとなるような、勇気付けられるような
そんな言霊をご紹介できれば…と思います。

 

いや疑いは人間にあり 天に偽りなきものを

 これは「羽衣」の中の天女の言葉です。羽衣を漁師の白龍に取られ、天に帰れなくなった天女が、衣を返してもらう代わりに天に伝わる舞を舞う約束をしますが、白龍は衣を返したら舞わずに天へ帰るだろうと疑います。その言葉に対して発せられた言葉です。
人間には疑う心があります。しかし天には“疑う”という心そのものがない…というのです。

今の世の中、何事もすぐ信じてはいけないと言われます。あさましい世の中になったものです。
疑う…その心は自分を苦しめます。
幸せは 自分の心をいかに静かに保つことができるか…ということとも言えるのではないでしょうか。

 

 

浮世と見るも山と見るも 唯その人の心にあり

 これは「西行桜」の中の一節です。
京都西山にある西行の庵室では老木の桜が見頃です。
一人ゆっくり花を愛でたい西行ですが、噂を聞きつけた花見客がやってきます。
庭に招き入れますが
「花見んと群れつつ人のくるのみぞ あたら桜のとがにはありける」
つい不満が漏れます。
その夜の夢に老木の精が現われ、西行に言います。
「浮世と見るも…」

ただ無心に咲く花に なんの咎がありましょうか
全ては人の心次第

何事もそうですね。
不満は全て自分の中から沸き起こるもの
他の人や事のせいなど 何一つありません。
 

 

 

 
 
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